いきなりですが、ゲームにおいてストーリー性とゲーム性はしばしば"トレードオフ"の関係にあります。

たとえばフィールドをオープンワールドにすると、綿密に設計されたシナリオを提示するのが難しくなりますよね。

逆に濃密なストーリーを描こうとすれば、フィールドが一本道になってしまったり、イベントシーンやムービーシーンが増えてプレイヤーの介入できない場面が多くなってしまったりします。

もちろんストーリー性とゲーム性をうまく両立させたタイトルもありますが、全体的な傾向としては、やはりこれらを両立させるのは難しいのではないかと感じています。

そうなると「ストーリー性とゲーム性のどちらを優先すべきなのか」ということが問題になりますが、当然ながらこの問いに答えはないと思っています。なぜなら、どちらを重視するかはプレイヤーそれぞれ異なるからです。どうあるべきとは一概には言えません。

ただし個人的な話をすれば、私は圧倒的なストーリー重視派です。シングルプレイのゲームに関しては、ストーリー性のない作品は積極的にプレイしない傾向にあるんですよ。私がゲームをプレイする動機の最も大きい部分は、”ストーリーを楽しみたい”というところにあるんですよね。
(マルチプレイ系のゲームは除きます。)

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ここで「え、ゲーマーなのにゲーム性よりストーリー性を選ぶの?」「いやいや、ストーリーが楽しみたいならアニメや映画でいいのでは?」というように思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし私はゲームこそ、壮大で緻密な物語を表現できる最高のメディア(媒体)の一つであると考えています。
そしてそれは「私が”ほかでもなくゲームに”ストーリーを求める理由」と深く関わっているんです。

(※記事の内容はあくまで一般論であり、同時にあくまでも個人的な考えです。どのメディアが優れているといったことを論点にしているわけではありませんので、その点をご理解いただければ幸いです。)

ゲームでは長大かつ難解なストーリーを作りやすい

大抵のゲームはクリアまでどんなに短くても2時間ほど、ボリューミーな作品になると100時間近くかかることもあります。

映画が1作観るのにだいたい2時間ほど、小説1冊読んだりやアニメワンクールを観たりするならだいたい数時間ほどであることを考えると、ゲームがどれだけ時間の確保を前提とした作りとなっているのかが分かります。

そして当然ながら、プレイ時間が長くなればなるほど、それだけキャラクターたちへの感情移入も大きくなりますよね。

複雑な世界観や人間関係もじっくり丁寧に表現することができますし、尺の都合で展開が駆け足になってしまう可能性は低いと言えます。

そのため、ゲームにおけるストーリー表現は非常に自由度が高く、他のメディアと比べて作家性が色濃く出やすいと言えるのではないでしょうか。

(特にRPGに関して)キャラクターを操作することで作品の世界観により没頭できる

自分が直接キャラクターを操作できることはストーリー性を高める上で一つの有効な手段です。

人助けのクエストを苦労してこなせば、「村の人の役に立てたなぁ」とほっこりしますし、その結果住人たちに褒められると、「まあ勇者ですからね、ボクに任せといてください」という気になります。

また戦略的にバトルをこなせば、「わし、手強いやろ?」と魔物たちに胸を張りたくなりますし、以前は歯が立たなかったような相手をレベル上げの末に撃破すれば、「やーい、ザコめー!」と高らかに笑いたくなります。

ちょっとした形であれ、自分が何らかの形でゲームに介入することで、もともとのストーリーがさらに引き立てられる効果が得られるのだと思います。これはまさにゲームならではのストーリー描写であると言えるでしょう。

(特にADVに関して)生きたキャラクターの掛け合いと地の文の融合

一方でノベル系のゲームはそうしたプレイヤーの介入要素が少ないため、それこそゲームである必要性を疑問視する声も少なくありません。

しかし私はADVゲームにしかない魅力があると思っています。
それは”アニメのように”生きたキャラクターの掛け合いが見られると同時に、”小説のように”地の文による状況描写が味わえるところ。

小説にはボイスやキャラクター絵、背景グラフィック、音楽などが付いていませんし、アニメには基本的に地の文が付いていませんよね。

しかしADVゲームはそれぞれの特徴的な部分を併せ持っているんです。
生きたキャラクターをドラマチックに演出しつつ、地の文で丁寧な心理・状況描写ができる。それは実のところ、非常に独特なストーリーテリング手法なのではないでしょうか。

プレイ中に終わりが見えない

ゲームのプレイ中、私たちはその作品がいつエンディングを迎えるのか分かりません。

もちろん前もって情報を仕入れていたり、攻略情報を見たりすれば別ですが、そうでない限り基本的にはクリアまでどれくらいかかるかはっきりと認識することはできませんよね。

そのため「尺的にそろそろクライマックスが来るだろうな」「ここがストーリーの折り返し地点かな」といった予想がしづらいと言えます。

これは物語の演出という点でとても大きなメリットになっていると考えており、たとえばストーリーの全体像を把握しづらいことを逆手にとり、”終わりと見せかけてまだ続くんです!”といったサプライズが仕掛けやすくなったりします。

また純粋に終わりが見えないことで、より没入感を高める効果があると思っています。

ストーリーに自分のペースで浸りやすい

美しい景色に足を止めるもよし。魅力的な音楽に耳を傾けるもよし。
ストーリーに合わせた縛りプレイをするもよし。ミニゲームやサブクエストなどに熱中するもよし。

気が向いたときに好きなスタイルで楽しめることで、ストーリーを自分のペースでのんびりと追いかけられるのも魅力だと言えるでしょう。
(これはゲームだけに限った部分ではないかもしれませんが…w)

最後に

というわけで今回は以上となります。

こうしていろいろとストーリー表現に注目してみると、ゲームでしかできない演出や過去に楽しんだ物語の記憶が次々と蘇ってきました。

これまでもゲームだからこそ表現できるストーリーにたくさん出会ってきましたが、これからもゲームを通じてもっともっと多くの物語に触れていければと思っています♪

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