2017年11月にレッドエンタテインメントから発売されたPSVITA向けの完全新作アドベンチャーゲームである「俺達の世界わ終っている。」。今回の記事ではそのクリアレビューをしていきます!

基本的にネタバレに配慮していますので未クリアの方もご覧いただいて問題ないとは思いますが、念のためご注意ください。

oreowa

あらすじ


本作の舞台はスタッフが7人という浅草の弱小ゲーム開発会社「ジャッジメントセブン」。
その代表であり変態プログラマーである「尾張世界」が書き上げた”現実を拡張する悪魔のプログラム”(拡張現実/AR技術)をきっかけに、彼らが生み出したゲームのキャラクターや設定が現実を侵食していき、さらにはジャッジメントセブンのメンバーが大きな陰謀に巻き込まれていく……というストーリー。

ひょんなことから予想外の事態に発展していく物語の展開、実在の街が舞台であること、変態・変人だらけのキャラクターたち……あれ、なんかデジャビュ感が……?

DU60Uw-U0AAb0sL
この変態紳士、どこかで………??

daru
………ファッ!?

Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)を彷彿とさせる作品!?

私が初めて本作の公式サイトを見た時、その世界観やキャラ設定がどこか科学ADVシリーズを想起させるように感じていました。それは上に書いたようなデジャブ感というか。

実際にAR技術やハッキング、SF的設定など、いわゆる科学ADVっぽさを感じるところはありますし、キャラクターたちの属性の付け方・実在の街を舞台としているところ・数人のメンバーで活動しているところ(シュタゲでいうラボメン , 本作でいうジャッジメント・セブン)などはやはりシュタゲっぽさがあります。
しかしクリアした感想はというと……全然別物ッ!
そもそも描きたいことがシュタインズ・ゲートと本作では全然違っていたように思います。

変態と青春が融合した”絆”の物語

本作の目指している方向、それはまさしく「ゲーム制作」を焦点とし、7人のメインキャラクターたちの「青春」を描き出すことだったのではないかと思います。

DU7n1MzV4AAiedj
主人公である”アルバイトディレクター”の午前零時。特徴は”平凡”ということですが、”ハーレム”と呼ぶべきだと思う。

DU7oGKOVMAA90q5
個人的に一番好きだった”天然”系ヒロインの早瀬ユウノ。シュタゲでいうと「まゆり」枠。

DU7n2u6U0AAa4F0
何から何までとにかく”残念”な早瀬アサノ。ユウノの姉にあたります。

DU7n4uUVoAA7nS3
会社の社長にしてメインプログラマーの尾張世界。ザ・”変態”。

DU60YYGVMAAr8qA
全力で奇声を上げまくるイルカ二号。超がつく”中二”病であり変態であるという、本作になくてはならない人物。

DU7n6v-VMAEVIAO
今作のツンデレ枠である結城七罪。イルカ二号に勝るとも劣らない”混沌”としたキャラ。

DU7oH2rVMAAMgJ9
”幼稚”すぎる天才中学生。明らかに幼稚園児レベルの思考レベルですが、プログラム技術は尾張世界に次ぐ実力。

彼らそれぞれが本当に個性的というか、とにかく普通の人が主人公含めて誰もいないので、キャラのやり取りも一筋縄ではいきません。

例えば…(以下はパッケージ版に付属していた特典から一部抜粋しています。)

(前略)
主人公「会議を進めようという、普通の考え方を持っている人はいませんか? ほんのちょっとでいいんです……」
尾張「おいおい、零時くん。そもそも普通っていう発想はどうかと思うよ…略…」
イルカ「左様。常人の理解を超えた次元に到達したければあらゆる常識は捨てよ…略…」
アサノ「アンタ、余裕なさすぎよ…略…」
ユウノ「そうそう。れーじくんは意外と真面目さんだからねー。それじゃダメだよー」
タチアナ「まったくレージはお子様だなー。もうちょっと大人の余裕…略…」
七罪「みんなの言うとおりね。あなたもプロを目指すなら…略…」
主人公「まるで僕が間違っているみたいな話の展開になってますが…略…早く会議を始めましょう!」
尾張「フム。どうやら俺の伝えたかったことは伝わったようだし、これにて本日のセブン評議会は終了とする。みんなお疲れぇ」
主人公「えええ!?…略…」
ユウノ「れーじくん、むずかしく考えちゃダメだよ」
(後略)

こんな感じで、基本的に変態・変人だらけの登場人物たちによる軽妙な掛け合い、いたるところに挿入されるギャグシーンのおかげで全体的にはかなりライトな雰囲気。重苦しい展開は少なく、気楽な気持ちで読み進めることができる作品でした。

DU60WqOVMAAlifw

DU62DvkV4AENrKN

DU62GB9VwAASDDj

とはいえ本作がただの変態なギャグ作品かといえばもちろんそういうことではありませんw

現実とAR世界を繋ぐ謎多き展開と主人公たちに迫る陰謀の魔の手
。そういったプレイヤーを引き込む要素が散りばめられており、物語の引力はなかなかのものでしたし、その陰謀に立ち向かう中で明らかとなる真実にちょっとしんみり。

そしてなによりジャッジメントセブンが協力して事態に立ち向かう中、絆を深めていく様子は見ていてとても心地よかったですね。主人公とヒロインたちのラッキーイベントもたくさん用意されています(笑)

そんなわけで本作の物語はやはり「変態なのに真面目な青春活劇」というほかありません。

若干寒い場面も……

見た目からして想像がつく部分もありますが、キャラ同士のやりとりの中には寒い部分が多少はありました。この辺りは耐性がない方はちょっと厳しいところがあるかもしれません。
(いわゆる”ライトノベル”のノリについていける方なら問題はないと思います。)

また全体的にネタの繰り返しが多めなのも少し気になりました。アサノさんの”胸がない”弄りや音痴ネタは最初から最後まで、体感ではありますがたぶん100回くらい出てきたのでは?w

分岐システムS.O.S.

本作の分岐は通常の選択肢に加えて「S.O.S.」システムによって決定されます。

DU61_yXVoAAUY7J

これはいわゆるQTE(クイック・タイム・イベント)的なもので、画面に流れるように表示される選択肢からどれを選ぶか素早く決断していくという仕組み。油断していると選択肢が消えてしまうので、オートセーブがあるとはいえ若干面倒に感じる場面もありました。まあテキスト型ADVのスパイスとしてはアリなのかもしれませんけどね。

まとめ

思いのほかキャラクターたちの境遇や人間性などを丁寧に描いた作品。
それぞれの個性がより際立ち、変態であるにも関わらず彼らの青春がとても真面目に感じられるところは唯一無二だと感じましたし、本筋のシナリオも十分な牽引力を持っていたように思います。

一方でシュタインズ・ゲートと違って最初から最後までノリが変わらないのは評価が分かれそうなポイント。いろいろな意味で本作はなかなか人を選ぶ作品であるようにも感じました。

私自身は40時間じっくりとジャッジメント7のやりとりを楽しめましたし、想像とはちょっと違っていましたが、十分に満足しています

俺達の世界わ終っている。 - PSVita
レッド・エンタテインメント
2017-11-09


スポンサードリンク