(2017年2月23日・記事一部改変しました。)

スパイク・チュンソフト(旧チュンソフト)の名作サウンドノベルゲームとして名高いホラーサスペンスADV「かまいたちの夜」。
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原作はキャラクターが影で表されているのが特徴で、ホラー成分が強めの作品として知られていましたが、そのリメイク作に当たる本作「かまいたちの夜 輪廻彩声」(PSVITA)はフルボイス化・キャラクターデザイン追加といった挑戦的な要素を加えています。

これはいろいろと賛否の声が分かれて話題になりましたが、原作未プレイの私としてはキャラが付くことを非常に歓迎している立場、ということを前提に考えてください。

本作の舞台は外界から隔絶された雪山のペンション
そこで主人公たち、ペンションにいた人間が次々と殺されていく、という物語です。いわゆるクローズドサークルもののミステリーですね。

以下ネタバレは控えつつレビューをしていきますが、閲覧は念のため自己責任でお願いします。

<おすすめポイント>

ミステリー好きならワクワクしないはずのないロケーション/物語展開

雪山のペンションに主人公たちが閉じ込められる。
いい響きです。(変人?)

物語は様々な形に分岐しますが、そのうち初めにプレイできるミステリー篇は、ペンションで起こる連続殺人事件の犯人やトリックを解き明かしていく内容。
この事件の真相はまさに盲点を突くもので、推理もの好きである私も唸ってしまいました。(もともと推理力自体は全くないんですが・・・w)

特定の選択肢によって展開が大きく変わり、サスペンスとしても楽しめるドキドキ感もなかなかのものでした。ホラー要素はキャラが影で無くなったことで薄れたという声もありますが、キャラの顔が分かることで感情移入度は増し、サスペンス要素はむしろ濃くなったのではないかと考えています。

夜中にプレイすることが多かったので、残虐なシーンの後、お手洗いに行くのが少し怖くなってしまったのは内緒です(笑)

膨大に分岐するシナリオ

まさかここまで分岐するとは・・・w
少しなめていましたね。
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フローチャートがすごいことになっています。上の画像はほんの序の口ですw

私はシナリオの細かすぎる分岐には否定的で、どちらかというと一本道が好きなのですが(一本道は否定されがちですが、濃い物語を描くには優れた手法だと思っています)、本作に関してはむしろ好意的に捉えることができました。

というのも、このフローチャートが便利で、いつでも好きな場面に飛べるんですね。
別の選択肢をすぐに確認することができるので、シナリオを埋める作業が苦になりませんし、ヘンテコな選択肢も気軽に選べるのでよかったです。

またこの仕組みに伴って大量のバッドエンドが収録。
「選択を誤るとこうなるよ」、という予言を見ているようで、とても引き込まれましたね。

キャラが魅力的、音楽や背景グラフィックもGood!

物議を醸したキャラデザインですが、先述の通り私はアリだと思います。
この絵師さんがとても好きだということもありますし、原作をプレイしていないため先入観や思い入れがないこともあるのですが、何といってもキャラクターが立っているために名前も憶えやすいですし、愛着の沸いたキャラの安否に一喜一憂する楽しさがありました。

(ちなみに私は主人公・透と、ヒロイン・真理が大好きになりました。あと香山さんや啓子さんも地味に好きですw)
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↑真理はほんとに美人ですね~。(笑)

また音楽や背景は作品の雰囲気を盛り立てる不気味なものが多く、視覚的に訴えてくるものがありました。ただ確かに影でない分、怖さは半減していたのかもしれません。

ボリュームがある

ミステリー篇だけなら5時間ほどあればコンプリートも可能になっていますが、これ以外にもギャグあり、恋愛あり、サスペンスありの様々なストーリーが収録されています。全部遊べば十分元が取れるボリュームになっていると思います。(約20時間前後?)
ひぐらしのなく頃にでお馴染み、竜騎士07さんによる新シナリオは突拍子もない感じで、私は正直中途半端なものに感じてしまいましたね。

<減点ポイント>

タッチ操作非対応

VITAのノベルゲームのほとんどに搭載されているタッチによるページ送りですが、本作は非対応。
タッチ操作は片手で楽々できるのがメリットなので、搭載しておいてほしかったです。
(これ以外のインターフェース面は素晴らしかったんですが・・・)

影でないのはやはり賛否あるかも

繰り返しになりますが、原作に思い入れがあればあるほど影でないことの違和感を覚えるかもしれません。キャラデザが受け付けないという方はなかなか難しいかもしれません。

一部グロテスクな描写がある

そもそもCERO Z指定(18歳以上)のソフトなので購入する場合は注意が必要です。
ただし、私自身はそこまでグロテスクに感じた描写はありませんでした。特に苦手だという方以外は問題ないとは思います。

 
というわけで万人におすすめというタイプの作品でないのは承知していますが、原作以上に間口が広がったのではないかと思います。ゲームでは珍しい設定の作品になっていますので、ぜひともこの系列でも新作を出していってほしいと感じましたね。購入してよかったです!

 

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